Biofuels Deemed a Greenhouse Threat
数日前の2月8日付のニューヨークタイムズの科学欄に、Biofuels Deemed a Greenhouse Threatという記事がのりました。(注:記事を読むにはサイトに無料登録する必要があります。)直訳すると、バイオ燃料は温室効果の脅威になる、というところでしょうか。
最近もてはやされているバイオ燃料ですが、急激に人気が高まったと同時に、懐疑的な見方も実は沢山あります。本当に二酸化炭素排出量が減るのか、(特に途上国における)食料品価格の高騰や環境破壊等の弊害と効果はどちらが大きいのか、等など。色々な研究者が論文やレポートを発表しています。
今までは単純に言うと、バイオ燃料を製造する過程で二酸化炭素が排出されても、生産されたバイオ燃料が二酸化炭素排出減少につながるので、少なくともプラスマイナス0だろう(或いはガソリンよりよっぽどいいだろう)、という考えがありました。よって各国政府が補助金を出したり、新しい規制を作ったりして、国内バイオ燃料の生産量、または輸入量を頑張ってあげようとしています。日本はよく分かりませんが、アメリカもEUもやっています。
しかしニューヨークタイムズの記事によると、バイオ燃料のために農地開拓すると、その土地の開拓後の二酸化炭素吸収量は以前より減少し、バイオ燃料を生産する工程で余計に二酸化炭素が出るので、製造されたバイオ燃料がカーボンニュートラル(プラマイ0)という考えは間違っている、とした研究論文2つが学術的に権威の或る科学雑誌サイエンスに載ったということです。
私の会社ではブラジルの砂糖キビから作るバイオ燃料以外は、環境的にもコスト的にも採算が合わないだろう、という見方が一般的になりつつあります。この記事も、それと同じことを言っています。特にアメリカのコーンからバイオ燃料を製造するのは、全く意味の無い、というか弊害だ、と考える人達も沢山います。補助金がどっさり出ているおかげで、色々なところで問題が出てきています。
これからどうなるのかはまだ未知数ですが、何かサイエンス及びテクノロジー的なブレークスルーが無いと、食料からバイオ燃料を製造するのは弊害が大きすぎる、ということになるでしょう。しかしブレークスルーを見つけるには、多くの人が多額のお金をかけて研究をしなければいけません。そういう意味では、今のようにバイオ燃料が脚光を浴び、企業が補助金欲しさのため、或いは高騰する燃料からの収入を求めて投資をするのは良いことです。その過程でよりよい策が見つかるかもしれないからです。ただ見つかるまでに生まれた弊害・悪影響をどうするのか...。うーん、難しい問題です。私のキャパを完璧に超えています。